
地方独立行政法人大阪産業技術研究所
理事長 湯元 昇
大阪産業技術研究所 令和8事業年度のスタートにあたり
令和8年1月1日付で理事長に就任した湯元昇です。日頃より大阪産業技術研究所(ORIST)の活動にご理解、ご協力を賜り、心より御礼申し上げます。
令和7年度の大きなイベントとしては、大阪・関西万博(EXPO2025)を挙げられる方が多いことでしょう。ORISTも8⽉26⽇から9⽉1⽇まで、大阪ヘルスケアパビリオン(リボーンチャレンジゾーン)に出展いたしました。「少し先の未来⽣活を⽀える縁の下(E-N-NO-SHI-TA)ものづくり企業たち」のテーマのもと、私どもとの共同研究等により開発された製品・技術をもつ府内11社・グループで展示を行ったところ、7日間で24万人近い大変多くのご来場をいただきました。また、8月29日には大阪ヘルスケアパビリオンの屋外ステージで、子どもから大人まで楽しめる“科学のお祭り”「わくわく科学縁日」も開催し、多くの方に科学の楽しさや奥深さを身近に感じていただけました。科学縁日に参画いただいた2社をはじめ、出展企業の方々には様々な形でご支援いただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
万博では、未来社会を支える様々な先端技術や新しい価値観が示されました。今後は、そうした技術を社会実装につなげるとともに、それを支える企業の技術高度化や新たな産業創出がますます重要になると考えています。ORISTでも、大阪府、大阪市の施策とも連携しながら、万博で加速した企業の技術開発後押しし、製品化やさらなる技術の発展に貢献いたします。
さて、ORISTでは、次世代産業を大阪から生み出すために、
■オープンイノベーションのさらなる推進と拠点の形成
■イノベーションへのチャレンジを後押しする支援の充実
の二つを目標としたいと思います。
■オープンイノベーションのさらなる推進と拠点の形成
オープンイノベーションとは、「自分の組織だけでなく、外部の知識や技術を取り入れて新しい価値を生み出すこと」です。いまの製品は、1つの企業の自前の研究開発だけではカバーできないほど複雑な技術を必要とするようになったため、オープンイノベーションが必要とされています。欧米では研究開発人材が組織間を移動することによってオープンイノベーションが引き起こされています。それに対して、日本は人材の流動性が低いため、人が集まって情報交換や共同研究ができる拠点の形成が非常に重要となっています。そこで、ORISTがオープンイノベーションの拠点として機能できるように、⼤阪産業局をはじめとする支援機関、大学、金融機関等との連携を強化することに加え、「おおさかグリーンTECHコンソーシアム」のような独⾃のプラットフォームをさらに強化していきたいと考えています。
■イノベーションへのチャレンジを後押しする支援の充実
イノベーションという概念は、約100 年前にドイツや米国などで活躍した経済学者シュンペーターが提唱したものですが、シュンペーターは経済発展・イノベーションには新しい結び付きが重要であることを明らかにしました。これまで結び付いていないものを結び付けることは、少なくとも現状のAIには難しい活動であり、人間にしかできないことだと思います。最近は、研究開発の様々な場面で生成AIが活用されてきていますし、単純な技術支援は生成AIに取ってかわられていくでしょう。そのような中で、ORISTでは、技術相談などの技術支援の内容を時代にふさわしい形に変革していくとともに、最後まで人間の役割として残っていく「これまで結び付いていないものを結び付ける」機能をさらに充実させ、イノベーションに挑戦する中小企業やスタートアップに対して、研究開発分野や業種を超えた新たな結び付きを生み出すといった面でも貢献していきたいとと考えています。
以上の目標も含め、ORISTはものづくり企業のベストパートナーとして、技術相談から製品化までを支援していきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
令和8年4月
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